抗体医薬用アガロース樹脂

アフィニティークロマトグラフィー分離剤 プロテインA樹脂

Praesto® Jetted A50

Praesto® Jetted A50は世界市場において初めて開発された、均一粒径タイプのアガロース樹脂母体のアフィニティークロマトグラフィー用分離剤のプロテインA担体です。

イオン交換樹脂市場における世界大手メーカーのピュロライト社が40年にわたり培ってきたビード生産技術に、ピュロライト社ライフサイエンス事業部のアガロース樹脂製造技術の組み合わせによりPraesto® Jetted A50は開発されました。

Praesto® Jetted A50の主な特徴

  • 高い動的結合容量(DBC):~70 g/L、従来の市場における主要製品と比較し40%高い結合容量
  • 高い耐アルカリ性
  • 均一粒径ビード樹脂による高分離能
  • OPUS®プレパックカラムに充填した製品供給が可能
図1:Praesto® Jetted A50と他社品のDBC比較
図2:Praesto® Jetted A50の耐アルカリ性データ

Jetting(ジェッティング):均一粒径ビード

市場に出回っている多くのアガロース樹脂は、約50年前からバッチ乳化方法で製造されてきました。ジェッティング重合方法はピュロライト社が世界で初めて開発に成功した均一粒径ビードの製造方法です。ジェッティングにより製造されたアガロース樹脂は、従来法により製造されたアガロース樹脂と比較し、均一な粒径範囲が得られ(図4)、様々な優位性を示します。


  • 高い流速/線速度での運転が可能
  • 圧力損失を低く抑えることが可能
  • ビードの比表面積が大きくなることでDBCが高くなる
  • カラム選択性とカラム効率が向上する
  • カラム充填性が向上する

均一粒径ビードはスケールアップ全体でカラムの性能がより安定し、結果の再現性が得られやすくなる利点があります。

ジェッティングは、ピュロライト社の特許取得済みの連続生産法です。(ジェッティングの動画によるイメージはこのリンクでご確認ください。)この合理的で効率的な生産法は、大幅なリードタイムの短縮だけでなく、処理水や廃棄物の減少に伴う環境負荷の低減やコストの削減にも貢献しています。

図3:Praesto® Jetted A50の圧力流速特性

図4:Praesto® Jetted A50と他社品の粒度分布比較

表1:Praesto® Jetted A50の一般物性値

製品名 Praesto® Jetted A50
用途 MAb回収
樹脂母体 高度架橋アガロース樹脂
外観 均一粒径 球状ビード
リガンド Repligen® NGL-Impact® A 組換えProtein A (E. coli)
動的結合容量(DBC) ~70 mg ヒトIgG/mL 樹脂
耐アルカリ性 0.1M NaOHで100時間以上
平均粒径(d50) 50 μm
粒度範囲 35~90 μm、95%以上
流速 ~ 200 cm/h(30 x 20 cmカラム)
pH安定性(長時間) 3-12
pH安定性(短時間) 2-13
推奨保管条件 2~8°C、20%エタノール浸漬

 

Praesto® Jetted A50 HipH

Praesto® Jetted A50 HipHは、酸性で変性しやすい抗体用に設計したプロテインA樹脂です。

Praesto® Jetted A50 HipH の独自の特性により、プロテインA樹脂からの溶出に使用される酸性(pH 3 ~ pH 3.5)で不安定となるpH感受性の抗体およびFc領域含有タンパク質の問題に対応することが可能となります。高い耐アルカリ性、高い動的結合容量に加えて、中性に近い溶出(~pH 5)での回収が実現します。

Praesto® Jetted A50 HipHの主な特徴

  • 高い動的結合容量(DBC):~60 g/L
  • pH 3.5 – 5.0での溶出が可能

図5:Praesto® Jetted A50 HipHとPraesto® Jetted A50の溶出pH値と回収率の比較

図6:Praesto® Jetted A50 HipHとPraesto® Jetted A50のDBC比較

 

表2:Praesto® Jetted A50 HipHの一般物性値

製品名 Praesto® Jetted A50 HipH
用途 MAb回収
樹脂母体 高度架橋アガロース樹脂
外観 均一粒径 球状ビード
リガンド Repligen® NGL-Impact® A HipH 組換えProtein A (E. coli)
動的結合容量(DBC) ~60 mg ヒトIgG/mL 樹脂
耐アルカリ性 0.1M NaOHで100時間以上
平均粒径(d50) 50 μm
粒度範囲 35~90 μm、95%以上
流速 ~200 cm/h(30 x 20 cmカラム)
pH安定性(長時間) 3-12
pH安定性(短時間) 2-13
推奨保管条件 2~8°C、20%エタノール浸漬

 

Purolite® DurA™ Cycle A50

Purolite® DurA™ Cycle A50は、抗体や関連するタンパク質を精製するために設計したプロテインA樹脂で、様々な洗浄方法が使用できます。

標準的なプロテインA担体と比較して、Purolite® DurA™ Cycle A50 は穏やかな pHで 溶出することで、抗体の安定性のみならず、凝集物や純度の問題に対応可能となります。 Purolite® DurA™ Cycle A50は、プロテインAの漏出に関わるプロテアーゼの反応性を減らすように設計してあり、樹脂の寿命を延ばし生産にかかるコストを抑えます。

Purolite® DurA™ Cycle A50の主な特徴

  • 高い動的結合容量(DBC):~80 g/L
  • O.5 M NaOHにおける高い安定性

図7:Purolite® DurA™ Cycle A50と他社品の0.5M NaOH安定性比較

図8:Purolite® DurA™ Cycle A50と他社品のDBC比較

表3:Purolite® DurA™ Cycle A50の一般物性値

製品名 Purolite® DurA™ Cycle A50
用途 MAb回収
樹脂母体 高度架橋アガロース樹脂
外観 均一粒径 球状ビード
リガンド Repligen® NGL-Impact® A DurA™ Affinity組換えProtein A (E. coli)
動的結合容量(DBC) ~80 mg ヒトIgG/mL 樹脂
耐アルカリ性 0.1M NaOHで300時間以上、0.5M NaOHで60時間以上
平均粒径(d50) 50 μm
粒度範囲 35~90 μm、95%以上
流速 ~200 cm/h(30 x 20 cmカラム)
pH安定性(長時間) 3-12
pH安定性(短時間) 2-13
推奨保管条件 2~8°C、20%エタノール浸漬

 

Praesto® AP +80

Praesto® AP +80 は、高結合容量、高流量、アルカリ耐性のプロテインA樹脂で、製薬およびバイオシミラー、CDMOでの mAb および関連構造物質の大規模な精製プロセスを支えるために設計しています。

80 μmの均一粒径球状ビードを備えた Praesto® AP +80は、生産速度を最大化する理想的な流動性を持ちます。Praesto® AP +80は、市場をリードするプロテインA担体と比較して、同等の性能と優れた経済性を提供します。

Praesto® AP +80の主な特徴

  • 高い動的結合容量(DBC):~60 g/L
  • 80 μmの均一粒径球状ビードによる優れた流動性
図9:Praesto® AP +80の圧力流速特性
図10:Praesto® AP +80のDBCデータ

表4:Praesto® AP +80の一般物性値

製品名 Praesto® AP +80
用途 MAb回収
樹脂母体 高度架橋アガロース樹脂
外観 均一粒径 球状ビード
リガンド 耐アルカリ性組換えProtein A (E. coli)
動的結合容量(DBC) ~60 mg ヒトIgG/mL 樹脂
耐アルカリ性 0.1M NaOHで100時間以上
平均粒径(d50) 80 μm
粒度範囲 42~125 μm、95%以上
流速 ~400 cm/h(30 x 25 cmカラム)
pH安定性(長時間) 3-12
pH安定性(短時間) 2-13
推奨保管条件 2~8°C、20%エタノール浸漬

 

Praesto® 70 CH1

Purolite® 70 CH1は、二重特異性抗体やフラグメント抗体などのヒトCH1ドメインを持つMAbを精製するために設計しており、治療用分子とパイプラインの多様化を支援します。

既存のCH1担体と比較して、2倍の動的結合容量が得られ、生産性が向上します。Purolite® 70 CH1はアルカリ安定性が向上しており、標準的なCIP手順が可能です。

Praesto® 70 CH1の主な特徴

  • 高い動的結合容量(DBC):~50 g/L
  • 0.1M NaOHでの洗浄が可能
図11:Praesto® 70 CH1の0.1M NaOH安定性データ
図12:Praesto® 70 CH1のDBCデータ

表5:Praesto® 70 CH1の一般物性値

製品名 Praesto® 70 CH1
用途 MAb(ヒトCH1ドメインを含む抗体およびフラグメント抗体)回収
樹脂母体 高度架橋アガロース樹脂
外観 均一粒径 球状ビード
リガンド Repligen® NGL-Impact® CH1 Affinity組換えタンパク質 (E. coli)
動的結合容量(DBC) ~40 mg mAb (IgG1) Fab /mL樹脂
耐アルカリ性 0.1M NaOHで30時間以上
平均粒径(d50) 70 μm
粒度範囲 43~122 μm、95%以上
流速 ~400 cm/h(30 x 20 cmカラム)
pH安定性(長時間) 2-13
pH安定性(短時間) 2-13
推奨保管条件 2~8°C、20%エタノール浸漬
  • 動的結合容量(DBC):接触時間6分間

中間精製・最終精製用イオン交換樹脂

Praesto® SP、Praesto® Q

Praesto® SPは強酸性カチオン交換樹脂、Praesto® Qは強塩基性アニオン交換樹脂で、それぞれ抗体医薬精製の中間精製や最終精製に用いられます。

図13:Praesto® SPの各粒子径におけるDBC比較
図14:Praesto® Qの各粒子径における圧力流速特性

表6:Praesto® イオン交換樹脂の一般物性値

製品名 Praesto® SP
強酸性カチオン交換樹脂
Praesto® Q
強塩基性アニオン交換樹脂
樹脂母体 高度架橋アガロース樹脂
官能基 スルホン酸 4級アンモニウム
イオン交換容量 0.11-0.18 mmol/mL-R 0.11-0.18 mmol/mL-R
製品名 Praesto® Jetted SP35 Praesto® SP45 Praesto® SP65 Praesto® SP90 Praesto® Jetted Q35 Praesto® Q45 Praesto® Q65 Praesto® Q90
平均粒径(d50) 35 μm 45 μm 60 μm 90 μm 35 μm 45 μm 65 μm 90 μm
流速 120 cm/h 200 cm/h 350 cm/h 550 cm/h 120 cm/h 200 cm/h 350 cm/h 550 cm/h
動的結合容量(DBC) 90 mg hIgG 80 mg hIgG 70 mg hIgG 50 mg hIgG 80 mg hIgG 70 mg BSA 60 mg BSA 50 mg BSA
pH安定性(長時間) 4-12 2-12
pH安定性(短時間) 3-14 2-14
化学的安定性 一般的に使われる緩衝液
(1M NaOH、8M尿素、6Mグアニジン塩酸塩、30% イソプロパノール、70% エタノール)
避けるべき条件 酸化剤、陽イオン系洗剤 酸化剤、陰イオン系洗剤
推奨保管条件 4-30°C、20%エタノール浸漬、
0.2M酢酸ナトリウム水溶液
4-30°C、20%エタノール浸漬
  • 流速:0.1 M NaCl、20°C、30 cm x 20 cm(35 μm)、20 cm x 20 cm(45 μm、65 μm、90 μm)
  • 動的結合容量(DBC):接触時間6分間

プレパックカラム

ラボ試験用プレパックカラムとしてPraesto® HT Columns、Praesto® RoboColumns®、Praesto® MiniChrom® Columnsの製品揃えがあります。

また、小規模生産用としてOPUS® カラムに充填した製品供給が可能です。OPUS® プレパックカラムは小規模生産用や臨床試験用を目的としています。カラム内径は5~80 cm、容量は0.5~150 Lの様々なサイズのカラムがあります。

右写真のプレパックカラムは、Praesto® Jetted A50アフィニティークロマトグラフィー用分離剤プロテインA樹脂が充填可能な製品です。

Praesto® HT Columns

Praesto® HT Columnsはラボ試験用のプレパックカラムです。

Praesto®プロテインA樹脂およびPraesto®イオン交換樹脂を充填した製品があります。容量は1 mLと5 mLの2つのタイプで、ともに樹脂層高さは2.5 cmです。

製品名 Praesto® HT 1 mL カラム Praesto® HT 5 mL カラム
内径 0.7 cm 1.6 cm
樹脂層高さ 2.5 cm
カラム容量 1 mL 5 mL
推奨流速 1 mL/min 1~4 mL/min
コネクター Universal 10-32(1/16″)UNF Threads
材質 ポリプロピレン
推奨保管条件 Praesto® プロテイン A樹脂:2~8°C
Praesto® イオン交換樹脂:4~30°C
最大圧力(カラム) 5.0 bar

 

Praesto® RoboColumns®

Praesto® RoboColumns®は最小スケールでのラボ試験用のプレパックカラムです。

1セット8本のカラムに200 μLまたは600 μLのPraesto®プロテインA樹脂を充填した製品があります。

製品名 Praesto® RoboColumns®
内径 5 mm
樹脂層高さ 10 mm 30 mm
カラム容量 200 μL 600 μL
カラム数 8カラム
コネクター Robotic liquid handling stations に接続
材質 ポリプロピレン
pH安定性(カラム) pH 1-14
避けるべき条件 ハロゲン系溶媒、ヘキサン
最大圧力(カラム) 8.0 bar

 

Praesto® MiniChrom® Columns

Praesto® MiniChrom Columnsはプロセス開発や各種精製条件のスクリーニングに用いられるプレパックカラムです。

Praesto®プロテインA樹脂およびPraesto®イオン交換樹脂を充填した製品があります。容量1 mL・樹脂層高さ20 mmのタイプと容量1 mL・樹脂層高さ100 mmのタイプが利用いただけます。

製品名 Praesto® MiniChrom®
1 mLカラム
Praesto® MiniChrom®
5 mLカラム
内径 8 mm
樹脂層高さ 20 mm 100 mm
(2本のカラム接続可能)
カラム容量 1 mL 5 mL
コネクター Fingertight 1/16″、female
材質 ポリプロピレン
化学的安定性(カラム) 一般的に使われる緩衝液、pH 1-14、有機溶媒
避けるべき条件 ハロゲン系溶媒、ヘキサン
最大圧力(カラム) 30 bar

 

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