水中の油分を効率的に除去するコアレッサー樹脂のご紹介

コアレッサー樹脂

廃水の油分と分離装置

資源の採掘や多くの製品加工プロセスでは、廃水に多量の油分が混入している場合が少なくありません。例えば石油採掘の随伴水、金属加工処理水に混入する機械油・潤滑油、食品・飲料廃水に含まれる油脂などが代表例です。

油分と水の分離は、比重差を利用したオイルセパレーター方式が一般的です。オイルセパレーターは水槽の油分だけを浮上させて除去するもので、API (American Petroleum Institute) 方式の他、分離性能を上げるため水槽内に傾斜板や波状板を設けたPPI (Parallel Plate Interceptor)方式やCPI (Corrugated Plate Interceptor) 方式が、多方面の処理工程で用いられています。

またオイルセパレーターで分離しきれいないエマルション等は、後段の加圧浮上装置や活性炭・砂ろ過装置等で分離できますが、凝集剤の添加や膜を透過する方式もあります。

 

コアレッサー樹脂 Purolite® OL100

ピュロライト社は、廃水に含まれる鉱物油や動植物油などの炭化水素類を濃縮・回収して水中から除去するため、親油性のコアレッサー樹脂「Purolite® OL100」を開発しました。

Purolite® OL100は、粒径0.3~1.2mmの真球の粒子状樹脂であり、母材はスチレンとジビニルベンゼンの共重合体で官能基を持ち、非常に高い機械的強度と反応速度を示します。

また薬品耐性に優れ、酸・アルカリおよび一般的な溶剤に不溶ですが、遊離塩素や強い酸化剤に対しては長期使用において樹脂母体の酸化劣化を生じます。また液温が120°C以下であれば、長期の使用に耐えます。

Purolite® OL100をコアレッサーとするオイルセパレー ターは、特に石油精製所や製鉄所の廃水処理工程において、生分解性が低い炭素数30程度の炭素鎖の鉱物油を含む廃水やプロセス水からの炭化水素の濃縮・除 去や、石油精製や石油化学プラントに使われるスチーム (蒸気) の復水脱塩装置や地下水の炭化水素類の除去など、幅広い分野に応用されています。

 

装置の原理・特徴

油分濃縮分離装置の概略を下の図に示します。Purolite® OL100は上下2層のコアレッシングゾーンに充填され、原水を上向流で通液します。

油分はゾーン1の樹脂表面上にフィルムを形成し、そのフィルムが厚みを増して上向流により油滴となって剥離します。

剥離した油滴は浮上してゾーン2で再び捕捉され、樹脂表面で濃縮して比重差により再度水面に浮上し、水面で安定した油膜層を形成します。油膜はデカンテーションにより上部出口から排出されます。

再生処理は不要で、上向流を止めない限り連続的に油分を濃縮・剥離することができます。

樹脂は100°C以上の熱にも耐性を持ち、原水水質については、pHが0~12、線流速8~12m/h、懸濁物(SS)濃度が5mg/L以下が、推奨される運転条件です。

油分の組成にも依存しますが、油分濃度の除去率は概ね90%以上で、廃水の炭化水素濃度が10mg/L以下でも高い除去率が期待できます。

Purolite® OL100は真球の粒子状樹脂であり、フィルターや繊維タイプに比べて比表面積が稼げるため、比較的小さい粒子に分散した油分であっても効率的に油滴を形成します。

また一般的に長期の連続的・安定的な運転に耐え、試薬フリーの低コスト運転が可能であること、また加圧ポンプや樹脂交換用の予備スペースが不要である事も、親油性の樹脂Purolite® OL100をコアレッサーに適用した場合の大きな特徴です。

 

OL100_8DEC14

図:油分の濃縮分離装置の概略図

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