課題の解決方法を提案します★活性炭に替わる合成吸着剤のご紹介

活性炭に替わる合成吸着剤

化学品・食品・医薬品・化粧品の製造プロセスでは、粒状活性炭や粉末活性炭が多用されていますが、破砕した微粉炭が処理液の品質を低下させ、後段工程に影響を与えるなどの問題が懸念されます。

また活性炭は再生処理と繰り返し利用が難しく、脱色処理後の廃棄量やろ過に用いる珪藻土の消費量も多いことが、製造コストへの負担になっています。

合成吸着剤は活性炭に比べて以下の特徴があります。
活性炭処理を合成吸着剤に置き換えることで不純物の少ない安定した処理液が得られ、ランニングコストを大幅に抑えることが可能です。

耐圧性・耐久性が高く、破砕物や粉末が発生しにくい

活性炭をつかう場合に見られる着色や不純物が処理液にみられない

吸着した濃縮物の回収・溶離において、適用できる薬液のpHや、溶媒の種類、温度の選択幅が広い

再生処理ができ、なおかつ再生処理の温度変化や薬液耐性も強く、繰り返し利用ができる

使用できる薬液の適用pH範囲が0-14と幅広く、アルカリ再生が可能

直径0.3-1.2mmの真球状粒子の集合体であり、カラム処理において通液時の圧力損失が小さい

撹拌プロペラの衝撃に強く、バッチリアクターへの適用ができる

粉塵や微粒子が出ないため、カラムやリアクターへの吸着剤の入替え作業が安全かつ容易

 

 

ピュロライト社製 合成吸着剤

PuroSorb PAD

溶媒中でモノマーとポロゲン(細孔形成溶剤)を混合して重合するプロセスで製造され、一定の細孔形状と分布を形成します。従ってPuroSorbは単一の細孔分布を有しますが、ポロゲンを変更することで細孔径や分布を変えることができます。Purosorbは比較的高い細孔容量を有し、高分子でも細孔構造内部へ浸透拡散することから高い吸着容量を示します。比表面積は目的物質に対する吸着容量に大きく影響を及ぼします。

Macronet MN

従来の合成吸着剤と比較して非常に大きな比表面積を持つピュロライト社独自の合成吸着剤です。一般的な架橋剤による重合で架橋構造を形成した後に、15 – 30 Åの小さなミクロポア構造を形成させ、比表面積を拡大する工程を追加した特殊なプロセスで製造される、ミクロポアとマクロポアの両方を有するユニークな製品です。Macronetの小さい細孔は細孔容量の大容量化には寄与しない反面、母材内部の比表面積を増大する効果があります。この構造は活性炭と類似した特徴をもちますが、活性炭と比較したMacronetの特長を下記に挙げます。

  • 最大1,200 m2/gの高い比表面積を持つ
  • 溶媒変化に対する膨潤・収縮などの体積変化が低い(最大膨張率は30%以下)
  • 物理的な強度が高く(押し潰し強度が750 g/ビード以上)、使用中に破砕物や微粉粒子が発生しない
  • 溶媒やスチームなど低コストで十分再生できる可能性がある

 

PuroSorb PADおよびMacronet MNの物性一覧表

PuroSorbとMacronetの典型的な物性

 

吸着剤 母体ポリマー 細孔径
Å
細孔容量
mL/g
比表面積
m2/g
水分含有率
%
用途、その他
PAD350 ポリスチレン-DVB架橋ポリマー 50 0.7 550 58 – 64 発酵培養液からの抗生物質中間体の抽出、ジュース苦味除去、食品添加物の分離、化学プロセス廃液からの炭化水素や農薬成分除去
PAD400* 360 1.0 700 55 – 61
PAD550 130 1.7 950 58 – 64
PAD600* 90 1.3 850 58 – 64 ペプチド、タンパク質や色素成分などの高分子量物質の抽出・除去
PAD900* 220 1.9 850 67 – 73
PAD1200* 400 1.7 600 58 – 64
MN200 700 0.4 1,100 50 – 60
MN202 220 0.3 950 50 – 60
MN250 380 0.6 1,100 50 – 60
MN270 80 0.5 1,200 35 – 50 微量有機物や揮発性有機化合物(VOCs)の除去
PAD610 メタクリルポリマー 300 1.2 490 60 – 66 ペプチドやビタミンの回収、地下水からの残留有機物除去や柑橘系果汁からのリモニン除去などに有効な親水性母体の吸着剤
PAD950 120 0.6 450 65 – 71
MN100 ポリスチレン-DVB架橋ポリマー、弱塩基性アニオン官能基付き 650 0.4 1,200 50 – 60 脱色用途や高疎水性物で苛性ソーダのみが再生に使用可能な場合に好適な0.10 – 0.20 meq/mLの弱塩基性アニオン交換容量(遊離塩基形)を有する。
その他、無極性媒質からの極性溶質の除去など。
MN102 350 0.4 800 50 – 60
MN500 ポリスチレン-DVB架橋ポリマー、強酸性カチオン官能基付き 750 0.2 500 52 – 57 臭気・風味の除去や、酸のみが再生に使用可能な高疎水性物の除去用途に好適な、0.80 meq/mLの強酸性カチオン交換容量(H形)を有する。
MN502 650 0.3 660 52 – 57

*PAD400、PAD600、PAD900およびPAD1200はポリスチレンを含有しないポリジビニルベンゼン

 

合成吸着剤の用途事例集

用途 推奨樹脂
オレンジジュースからのリモニン除去 PAD950
グレープフルーツジュースからのナリンギン除去 PAD900、PAD550
リンゴ・ブドウ果汁からのパツリン除去 PAD900、MN102
ポリフェノール抽出、回収 PAD900、PAD950
ガス吸着: 塩素化した揮発性有機化合物 MN270、PAD350
甘味料やビール発酵培養液の脱色 PAD900、MN100、MN102、PAD400
風味除去 MN500、MN502
農薬成分の抽出:アトラジン、ベンジン、ベンタゾン、イマザピル等 MN200、MN202
トコフェノールやトコトリエノール等のビタミンE PAD610、PAD950
ビタミンB PAD610
豆油からのタンパク質除去 PAD610
ステビア PAD1200
ターメリック等のクルクミン成分 PAD900、PAD950
イソフラボノイド PAD900
果汁や茶などからのフラボノイド、カテキン PAD900、PAD950、PAD610
リナロール、アスタキサンチン:テルペン・アルコールやカロチノイド類 PAD950、PAD610
ステロイド:ホルモン PAD550
ペプチド抽出:インスリン精製 PAD1200、PAD610
Βラクタムやその他抗生物質 PAD600、PAD550

 

【更新履歴】
更新:2020年4月14日
更新:2018年3月15日
更新:2017年9月20日
投稿:2015年7月3日

 

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