プロテインA担体Praesto™ APを発売し、量産工場を建設

Praesto™ APの発売と量産工場の建設

このたびピュロライト社は、アガロース樹脂にプロテインAを固定化したプロテインA担体「Praesto™ AP(プレスト・エーピー)」の発売を開始しました。

アガロース樹脂にプロテインAを固定化したプロテインA担体「Praesto™ AP」Praesto™ APは、固定化されたプロテインAが抗体である免疫グロブリン(IgG)と特異的に結合する機能を持ち、抗体医薬の精製工程に使われるアフィニティークロマトグラフィー用分離剤として利用されます。Praesto™ AP製品は、発売に先立って実施された欧米市場でのプレマーケティングで非常に高い評価を得ています。

またピュロライト社では、弊社アガロース担体製品「Praesto™」の量産に向けた新工場を英国研究所に建設することを決定しました。

アガロース担体製品「Praesto™」の量産に向けた年産100,000リットルの英国新工場(完成予想図)現在ピュロライト社のアガロース樹脂は英国研究所で生産されており、生産能力は2,000リットル/年です。新たに建設される工場の生産能力は100,000リットル/年と大幅に強化され、この生産量は現在の世界的な供給量の約30%に相当します。生産開始は2017年7月を予定しており、この新工場建設に際してピュロライト社は、英国ウェールズ政府より£575,000(約9千3百万円)の補助金を受けることが決まっています。

 

プロテインA担体 Praesto™ AP

現在、世界の抗体医薬市場においては、プロテインAの担体にアガロース樹脂を用いた精製剤が、高性能な次世代製品として寡占的に使用されています。

このたびピュロライト社が発売したPraesto™ APは、このトップシェアを占める他社製品と同じく、アガロース樹脂を基材に用いており、同等もしくはそれ以上の性能を発揮します。

Praesto™ APの主な特徴として、

  • 免疫グロブリンに対する動的結合容量が高く、精製剤1リットル当たり60g以上の抗体を吸着可能
  • 高い耐アルカリ性を持ち、250回以上の繰り返し使用が可能

などが挙げられます。

 

ピュロライト社のアガロース担体樹脂 Praesto™

ピュロライト社では、2014年10月に抗体医薬の精製工程における中間精製と最終精製に使用されるイオン交換精製用のアガロース樹脂製品として、

  • 強酸性カチオン交換樹脂タイプ(陽イオン交換)の「Praesto™ SP」
  • 強塩基性アニオン交換樹脂タイプ(陰イオン交換)の「Praesto™ Q」

の2製品を販売開始し、既に欧米市場において抗体医薬品の精製や血漿タンパクの分画など幅広い用途で採用が進んでいます。

Praesto™ の平均粒径は「45μm」、「65μm」、「90μm」の3種類がラインナップされ、幅広い用途に適用できます。小粒径の担体樹脂は分離カラムに用いた再に分離性能を向上させる一方、差圧を上げて流量を低下させます。最適な粒径を選択するには、流量スケール、分解性能、生産性、コストなど、いくつかの異なるパラメーターを考慮する必要があります。

【参考記事】バイオ医薬品精製用のアガロース担体製品「Praesto™ (プレスト)」を発売します

【参考記事】新製品 アガロース担体樹脂「Praesto™ (プレスト)」を発売しました

 

抗体医薬品の市場規模

抗体医薬品はガンや免疫疾患などの分野で治療に用いられるバイオ医薬品で、近年急速に市場が拡大しており、世界全体の市場規模は年間9兆円以上と推定されています。

抗体医薬品は製造工程において各種の分離剤が使用されますが、特にアフィニティークロマトグラフィー用分離剤は年間200億円以上、需要数量は年間20,000リットル以上とみられています。

またアガロース担体分離剤の市場規模は、アフィニティー分離剤を用いた培養液からの抗体捕捉(分離)用途、中間精製、最終精製、その他の用途を含めた全体的な需要として年間750億円と言われています。

 

プロテインA担体「Praesto™ AP」のPDF資料が、<br /> こちらからダウンロードできます。