身の回りのいろいろな水
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地 球は豊富な水に恵まれた水の惑星で、地球上の水の全体積の97%が海水、残りの3%のうち氷河が約2.5%です。多くの陸上に棲む生命が使える淡水として の水は0.5%しかなく、体積に換算すると約700万立方キロメートルです。これは河川水・湖沼水も含まれますので、人間が飲料用として使えるのはもっと 少なくなります。
地球が46億年前に誕生して以来、水は地球上を絶えず循環し、多くの生命を育みました。
大気の水蒸気は雨になって地表や海に戻りますが、地表に落ちた雨は湖・河川・地下 に流れて、一部人間に使われ、最後に海に戻りますが、地表に留まる時間(滞留時間)は数週間程度です。それに比較して海水は、蒸発したものを除くと約2千 年もの長い間、海に留まることが知られています。
滞留時間の長さと水の性質、特に水質との関係は非常に重要な意味をもち、滞留時間が長いと水に様々な物質が溶けたり混ざるため、水の性質が大きく変化します。
水処理技術
人間が自然の水を利用するとき、ほとんどの場合は溶けたり混ざっている不純物を除く技術、すなわち水処理技術が必要です。
この技術には、水中の細かい粒子を除くろ過装置、生物のはたらきを利用した微生物活性炭処理装置、オゾンや紫外線による酸化装置、逆浸透膜や限外ろ過膜などのろ過装置が使われます。
一方で、水に溶けている微量のイオン類は 「 イオン交換樹脂 」 を用いて除去します。その代表的な例には、陽イオン交換樹脂を使った軟水製造装置があります。
硬度とは一般的にカルシウム・マグネシウムの量で表され、世界中あらゆる地域の飲料水で硬度に差があり、特に欧州の水は硬度が高い傾向があり、また日本の水道水はほとんどの地域で硬度の低い軟水に分類されます。
硬水をイオン交換樹脂に通すことでカルシウム・マグネシウムを選択的に除去して硬 度を下げ、軟水を得ることができます。硬度が高い水は、ボイラーや熱交換器に用いると装置の内壁にスケールと呼ばれる白い塊を作りやすく、一度スケールが 付着すると熱が伝わりにくくなり、燃料効率が悪くなります。
水は電子産業にも使われ、液晶産業・半導体産業などでは純水・超純水と呼ばれる、 極めてきれいな水が使われます。純水・超純水の定義は明確ではありませんが、含まれるイオン類の濃度は、水1リットル当たり1ナノグラム以下に制限されて います。この濃度は、競泳用50mプールに耳かき一杯分の塩を投入したのに等しいレベルであり、極めて低い濃度であることがわかります。
水に残る微量のイオン類は、イオン交換樹脂でなければ除去できず、イオン交換樹脂は先端産業分野で欠かすことのできない技術です。